家族 全曲解説
1. 家族
われわれの時代が失ったものをとりもどすときがきた。
身近すぎて目を背けてきた家族の愛に気づくには勇気がいる。
大切な絆を断ち切ったのも君なら、もう一度結びなおすことができるも君しかいない。
「ありがとう」と恥ずかしくて言えないのなら、この歌を聞かせてあげよう。きっと親も君と同じ気持ちなんだ。
君を愛したくて、君から愛されたくて、たまらないんだよ。この歌を聴けば君が変わる、家族が変わる、世界が変わる、時代が変わる。
どしゃ降りの雨に打たれながら、書いた歌。
「世界中の悲しみなんて僕には背負えないから、ただ君のまつげがぬれないように祈る」。
もし世界を変えたいのなら、革命や政治運動なんかやらなくていい。となりの人に笑顔をむける。
それこそが世界を変える唯一の方法だ。地球を救うより、愛する人を救え!
3. たったひとつの命
亡くなった父にむけて書いた歌だが、去っていった恋人に贈る歌でもある。
大切な人を失ってはじめて、人は本当の愛に気づくんだ。どんな無様な毎日を送っていようと、君のままでいい。
何度生まれ変わろうと、君が君であるのは今回限りだ。世界でたったひとつのかけがいのない命なんだ。
4. 背中
ニューヨークで父の急死を知ったとき、帰国の飛行機のなかで書いた詩(「神の肉テオナナカトル」P276)がもとになっている。
親との葛藤は誰しもが抱えているだろう。
しかしその葛藤から学ぶために、オレたちは自分の両親を選んで生まれてきたんだ。
親が子を選ぶのではなく、子が親を選ぶ。
親を許すことは、とりもなおさず自分を許すことだから。
5. 幸せのアリカ
幸せの青い鳥を求めて、オレは70カ国を旅してきた。
しかし青い鳥はずっとオレの胸の中にいたことに気づいたとき、この歌が降ってきた。
「幸せになる」のではなく、「幸せだったことに気づく」とき、君は本当の君自身に出会うだろう。
青い鳥の名は「愛」、または「神様」、「ハイヤーセルフ」とか、「グレーターセルフ」と呼んでもいい。
とにかくずっと君だけを見守り、導いてきたもうひとりの君自身だ。
6. 愛のカタチ
大切なものはカタチがない。
風や光、やさしさや勇気、なかでももっとも大切な愛も見えない。
しかしじつは愛のカタチがあるんです。
それは……君だ。
すべての命が愛のカタチだと気づいたとき、世界はまばゆいほどの輝きをもって立ち現れてくる。
仏教史3000年をひっくり返すほど危険な歌であり、じつはブッダ本人が伝えたかった本質はこの歌に凝縮されている。
歌詞を読めば読むほど、その奥深さに引きずり込まれるだろう。君もブッダであり、時代を愛によって産み落とすのも君なんだ。
8. シャンティー
ヒンドゥー語で「シャンティー」とは、平和なとか、静かな意味。
死後の世界を発見したエリザベス・キューブラー・ロス博士(「死ぬ瞬間」)が末期がん患者のために開いたホスピスが「シャンティー・ニラヤ」(安らかな家)という。
一見ラブソングにも聞こえるが、ぼくらが最後に帰る家はあの世の光の世界である。
9. 絆
身近な人が亡くなるのは大きな悲しみである。
しかし死者の本当に伝えたかったメッセージをいつまでも悲しみに酔って聞き逃してはならない。
彼らが命までかけて教えてくれたものは、「分かち合うこと、助け合うこと、愛し合うこと」だから。
家族や友人を亡くした人のためにつくった歌であり、この歌を聴いてたくさんの人が悲しみから抜け出すのを見てきた。
だいじょうぶ、死者はいつでもそばにいて愛する生者を守ってくれる。
10. Life is beautiful
母は足を引きずって歩き、父の暴力に別居し、祖父を介護し、ガンが胃、脳、肺に転移して死んだ。
苦労の耐えない人生だったが、「それでも生きることは美しいんだよ、思い通りにならないからこそ、この世界は生きるに値するんだよ」オレが母から教わった究極の学びがこの歌だ。
11. 今日は死ぬのにもってこいの日だ
アメリカに住んだ5年間でインディアンのところばかりいっていた。
さまざまな長老たちがいろんな知恵を授けてくれた。
今度はその知恵をオレがみんなと分かち合う番だ。
「おまえが生まれるとき、世界は笑い、おまえは泣く。
おまえが死ぬとき、世界は泣き、おまえは笑う」。
そうしてオレたちはくりかえし生まれ変わり、もがき苦しみながらも命の意味を学んでいく。
家族
2008年6月リリース。11曲。2500円。